2026年8月23日日曜日

【萬葉集06 0936・0937】

06 0935 三年丙寅秋九月十五日幸於播磨國印南野時笠朝臣金村作歌一首[三年丙寅の秋九月十五日、播磨国の印南野に幸しし時に、笠朝臣金村の作れる歌一首]并短歌〔并せて短歌〕
 06 0935 名寸隅乃(なきすみの)船瀬従所見(ふなせゆみゆる)淡路嶋(あはぢしま)松帆乃浦尓(まつほのうらに)朝名藝尓(あさなぎに)玉藻苅管(たまもかりつつ)暮菜寸二(ゆふなぎに)藻塩焼乍(もしほやきつつ)海未通女(あまをとめ)有跡者雖聞(ありとはきけど)見尓将去(みにゆかむ)餘四能無者(よしのなければ)大夫之(ますらをの)情者梨荷(こころはなしに)手弱女乃(たわやめの)念多和美手(おもひたわみて)俳佪(たもとほり)吾者衣戀流(あれはぞこふる)船梶雄名三(ふねかぢをなみ) 

 【故地名】名寸隅(なきすみ):兵庫県明石市魚住町・大久保町一帯の地。 
ふな‐せ【船瀬】:船が風波を避けるために停泊する所。 
松帆の浦:今の兵庫県の淡路島の北端にある海辺で、明石海峡をはさんで須磨・明石の地をのぞむ。
 あま-をとめ 【海人少女】:海で働く少女。 
よし‐な・い【由無い】: そうするいわれがない。理由がない。
 こころなし【心無し】:思慮、おもいやりがないこと。 
おもひ-たわ・む 【思ひ撓む】:気持ちがくじける。 
た-もとほ・る 【徘徊る】:行ったり来たりする。歩き回る。 
まるで、♪潮風を待つ少女♪(安達明)を歌ってるようだ。 

 06 0936 反歌二首 
06 0936 玉藻苅(たまもかる)海未通女等(あまをとめども)見尓将去(みにゆかむ)船梶毛欲得(ふねかぢもがも)浪高友(なみたかくとも) 

 さぞかし、「噂にたがわぬ少女たちがいるんだろうなぁ?」という思いが高まる。

 06 0937 徃廻(ゆきめぐり)雖見将飽八(みともあかめや)名寸隅乃(なきすみの)船瀬之濱尓(ふなせのはまに)四寸流思良名美(しきるしらなみ)

 しきる【頻る】:何度も起こる。度重なる。 
「今や、夢と憧れになってしまったけれど、この波を乗り越えてきっと船出するぞ」という決意がうかがえる。

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