2026年10月3日土曜日

【萬葉集06 0954】

06 0954 膳王歌一首 
膳王(かしわでおう、生年不詳 - 729)は、左大臣・長屋王の子である。

 06 0954 朝波(あしたには)海邊尓安左里為(うみへにあさりし)暮去者(ゆふされば)倭部越(やまとへこゆる)鴈四乏母(かりしともしも) 

 『朝』の字には少なくとも、朝(チョウ)・ 朝(チュ)・ 朝(あした)・ 朝(あさ)の4種の読み方が存在する。 
『左』の字には少なくとも、左(サ)・ 左(ひだり)の2種の読み方が存在する。 『里』の字には少なくとも、里(リ)・ 里(さと)の2種の読み方が存在する。
 左(サ)+ 里(さと)=(さ)で、(うみへにあさし)と思った。 
『為』の字には少なくとも、為(イ)・ 為る(なる)・ 為す(なす)・ 為る(つくる)・ 為(ため)・ 為る(する)の6種の読み方が存在し、 里(リ)+為(イ)=(りィ)のほうがいいよね。
 あさ・る 【漁る】:えさや食物を探し求める。
 二句目(うみへにあさりし)は、(うみへにあさりィ) 

 暮:[音]ム、モ(呉) ボ (漢)[訓]く-れる、く-らす (表内)ゆうひ 
ゆふ-さ・る 【夕さる】:夕方になる。日暮れになる。
 かり 【雁・鴈】:鳥の名。がん。秋に渡来し、春に北へ帰る。
 ともし【乏し、羨し】:羨(うらや)ましい。 

 神亀5年(728年)の聖武天皇の難波宮行幸の際に詠んだとされる歌だが、神亀6年(729年)2月に密告によって長屋王が謀反の疑いをかけられ、膳王も、吉備内親王〔太上(元正)天皇の妹〕や弟たちとともに縊死した(長屋王の変)となれば、特別な歌になる。

あしたには うみへにあさり ゆふされば やまとへこゆる かりしともしも

 06 0954 右作歌之年不審也 但以歌類便載此次[右は、作歌の年審らかならず。ただ、歌の類をもちて便ちこの次に載す]