2026年10月25日日曜日

【萬葉集06 0957】

06 0957 冬十一月大宰官人等奉拜香椎廟訖退歸之時馬駐于香椎浦各述懐作歌 帥大伴卿歌一首[冬十一月、大宰の官人等の香椎の廟を拝み奉り訖へて退り帰りし時に、馬を香椎の浦に駐てて各懐を述べて作れる歌帥大伴卿の歌一首] 
06 0957 去来兒等(いざこども)香椎乃滷尓(かしひのかたに)白妙之(しろたへの)袖左倍所沾而(そでさへぬれて)朝菜採手六(あさなつみてむ)

【 去り來・去來】:やって来る。さりくの漢字表記。 
『兒』の字には少なくとも、兒(ニ)・ 兒(ジ)・ 兒(ゲイ)・ 兒(こ)の4種の読み方が存在する。 
『等』の字には少なくとも、等(トウ)・ 等(タイ)・ 等(ら)・ 等しい(ひとしい)・ 等(など)の5種の読み方が存在する。
 こ‐ら【子▽等/▽児▽等】:上代、人を親しんでよぶ語。多く単数の女性に対して用いるが、複数のことも、男性の場合もある。
 一句目(いざこども)は、(さりくこら) 

 【故地名】香椎の潟(かしいのかた):【現在地名】福岡県福岡市東区 
しろ-たへ 【白栲・白妙】:こうぞ類の樹皮からとった繊維(=栲)で織った、白い布。また、それで作った衣服。
 海に白妙の衣なんて、まさにその情景が目に浮かぶよね。

 そで 【袖】:衣服の腕を覆う部分。袂(たもと)を含めていうこともある。
 あさ‐な【朝菜】: ( 「な」は、菜(な)と魚(な)とに通じて副食物をいう ) 朝食の副食物にするもの。
 波しぶきがかかっても、楽しげな乙女の姿である。

 さりくこら かしひのかたに しろたへの そでさへぬれて あさなつみてむ

2026年10月18日日曜日

【萬葉集06 0956】

06 0956 帥大伴卿和歌一首[帥大伴卿の和へたる歌一首帥大伴卿の和へたる歌一首]
 06 0956 八隅知之(やすみしし)吾大王乃(わごおほきみの)御食國者(をすくには)日本毛此間毛(やまともここも)同登曽念(おやじとぞおもふ) 

 やすみ-しし 【八隅知し・安見知し】:国の隅々までお治めになっている意で、「わが大君」「わご大君」にかかる。
 「食国(をすくに)」:食をもって国を治める。 

 『此』の字には少なくとも、此(シ)・ 此(これ)・ 此(ここ)・ 此の(この)・ 此く(かく)の5種の読み方が存在する。
 間:[音]ケン(呉)カン(漢)[訓]あいだ 、ま(表内) あい、あわい[あはひ]、しばら-く、しば-し、ひそ-か、うかが-う、しず-か、はざま、このごろ、まま、へだ-てる、まじ-わる、あずか-る、か-わる、い-える 
 此(ここ)+間(このごろ)=(ここ) 

 おや・じ 【同じ】:同(おな)じ。
 思ふ(もう):念ふ。「思う」の意味で用いられることのある表現。古語。
明らかに、「長屋王の変」に対して、忠臣であることをほのめかしている。

やすみしし わごおほきみの をすくには やまともここも おなじとぞもふ

2026年10月11日日曜日

【萬葉集06 0955】

06 0955 大宰小貳石川朝臣足人歌一首[大宰少弐石川朝臣足人(たりひと)の歌一首] 
 大宰帥(そち)の大伴旅人(おおともの-たびと)へおくった歌だという。 
 06 0955 刺竹之(さすたけの)大宮人乃(おほみやひとの)家跡住(いへとすむ)佐保能山乎者(さほのやまをば)思哉毛君(おもふやもきみ) 

 さすたけ-の 【刺す竹の】:「君」「大宮人」「皇子(みこ)」「舎人男(とねりをとこ)」など宮廷関係の語にかかる。「さすだけの」とも。
 おおみや‐びと〔おほみや‐〕【大宮人】:《上代は「おほみやひと」》宮中に仕える人。殿上人(てんじょうびと)。 
『跡』の字には少なくとも、跡(セキ)・ 跡(シャク)・ 跡(あと)の3種の読み方だが、万葉仮名借訓として(と)
 と(格助詞):〔目的〕…として。…と言って。…と思って。 
上の句だけなら、常套手段ってもんだが、三句目の(いへとすむ)なんておかしいよね。


 ところが四句目で、(さほのやまをば)とくる。
【故地名】佐保の山(さほのやま):奈良県奈良市 佐保山の麓は万葉歌人大伴家持、大伴旅人、大伴坂上郎女を輩出した、佐保の大伴氏をはじめ、高級貴族の邸宅地でした。
 しかし大事なのは、長屋王主催の佐保楼と呼ばれた文化サロンもあったということだ。

 ここで五句目(おもふやもきみ) が生きるんよ。
もちろん、長屋王の変を踏まえての話だよ。
憤懣やるかたない旅人のことを思っての歌である。
や-も:…かなあ、いや、…ない。▽詠嘆の意をこめつつ反語の意を表す。 

 さすたけの おほみやひとの いえとすむ さほのやまをば おもふやもきみ

2026年10月3日土曜日

【萬葉集06 0954】

06 0954 膳王歌一首 
膳王(かしわでおう、生年不詳 - 729)は、左大臣・長屋王の子である。

 06 0954 朝波(あしたには)海邊尓安左里為(うみへにあさりし)暮去者(ゆふされば)倭部越(やまとへこゆる)鴈四乏母(かりしともしも) 

 『朝』の字には少なくとも、朝(チョウ)・ 朝(チュ)・ 朝(あした)・ 朝(あさ)の4種の読み方が存在する。 
『左』の字には少なくとも、左(サ)・ 左(ひだり)の2種の読み方が存在する。 
『里』の字には少なくとも、里(リ)・ 里(さと)の2種の読み方が存在する。
 左(サ)+ 里(さと)=(さ)で、(うみへにあさし)と思った。 
『為』の字には少なくとも、為(イ)・ 為る(なる)・ 為す(なす)・ 為る(つくる)・ 為(ため)・ 為る(する)の6種の読み方が存在し、 里(リ)+為(イ)=(りィ)のほうがいいよね。
 あさ・る 【漁る】:えさや食物を探し求める。
 二句目(うみへにあさりし)は、(うみへにあさりィ) 

 暮:[音]ム、モ(呉) ボ (漢)[訓]く-れる、く-らす (表内)ゆうひ 
ゆふ-さ・る 【夕さる】:夕方になる。日暮れになる。
 かり 【雁・鴈】:鳥の名。がん。秋に渡来し、春に北へ帰る。
 ともし【乏し、羨し】:羨(うらや)ましい。 

 神亀5年(728年)の聖武天皇の難波宮行幸の際に詠んだとされる歌だが、神亀6年(729年)2月に密告によって長屋王が謀反の疑いをかけられ、膳王も、吉備内親王〔太上(元正)天皇の妹〕や弟たちとともに縊死した(長屋王の変)となれば、特別な歌になる。

あしたには うみへにあさり ゆふされば やまとへこゆる かりしともしも

 06 0954 右作歌之年不審也 但以歌類便載此次[右は、作歌の年審らかならず。ただ、歌の類をもちて便ちこの次に載す]

2026年9月27日日曜日

【萬葉集06 0950・0951・0952・0953】

06 0950 五年戊辰幸于難波宮時作歌四首[五年戊辰、難波宮に幸しし時に作れる歌四首]
 06 0950 大王之(おほきみの)界賜跡(さかひたまふと)山守居(やまもりすゑ)守云山尓(もるといふやまに)不入者不止 (いらずはやまじ )

さか・ふ 【境ふ】:境界線をつける。区切る。
 やま-もり 【山守】:山を守ること。山の番をすること。また、その人。
『居』の字には少なくとも、居(コ)・ 居(キョ)・ 居(キ)・ 居る(おる)・ 居く(おく)・ 居る(いる)の6種の読み方が存在する。
 三句目(やまもりすゑ)は、(やまもりい)
 四句目(もるといふやまに)は、(もるいふやまに)
ふ‐にゅう〔‐ニフ〕【不入】:立ち入らないこと。また、入り込めないこと。
  『者』の字には少なくとも、者(シャ)・ 者(もの)の2種の読み方が存在する。 
や・む【▽止む/×已む/▽罷む】: 続いていたことがとまる。物事にきまりがつく。
五句目(いらずはやまじ )は、(ふにゅうしゃやまず)

おほきみの さかひたまふと やまもりい もるいふやまに ふにゅうしゃやまず

 06 0951 見渡者(みわたせば)近物可良(ちかきものから)石隠(いそがくり)加我欲布珠乎(かがよふたまを)不取不已(とらずはやまじ)

 いそ-がく・る 【磯隠る】:海辺の岩石の陰に隠れる。人目につかない辺鄙(へんぴ)な所に隠れ住む。
かがよ・ふ 【耀ふ】:きらきら光って揺れる。きらめく。 
 『已』の字には少なくとも、已(シ)・ 已(コ)・ 已(キ)・ 已(イ)・ 已む(やむ)・ 已だ(はなはだ)・ 已(のみ)・ 已に(すでに)の8種の読み方が存在する。
 五句目(とらずはやまじ)は、(とらずをやめじ) 

みわたせば ちかきものから いそがくり かがよふたまを とらずをやめじ        

06 0952 韓衣(からころも)服楢乃里之(きならのさとの)嬬待尓(つままつに)玉乎師付牟(たまをしつけむ)好人欲得(よきひともがも)

たま【玉】:美しいものをほめていう。
 しつけ【仕付(け)】:設置すること。
 もが-も:〔願望〕…があったらなあ。…があればいいなあ。  
『欲』の字には少なくとも、欲(ヨク)・ 欲(ユ)・ 欲する(ほっする)・ 欲しい(ほしい)の4種の読み方が存在する。
 『得』の字には少なくとも、得(トク)・ 得る(える)・ 得る(うる)の3種の読み方が存在する。
つまり、「そんな人がいたらなぁ」ってことになるけど、解釈に苦しむ【好人欲得】

からころも きならのさとの つままつに たまをしつけむ よきひともがも

  06 0953 竿壮鹿之(さをしかの)鳴奈流山乎(なくなるやまを)越将去(こえゆかむ)日谷八君(ひだにやきみが)當不相将有(はたあはざらむ)

さ-をしか 【小牡鹿】:雄の鹿(しか)。◆「さ」は接頭語。 
『流』の字には少なくとも、流(ル)・ 流(リュウ)・ 流れる(ながれる)・ 流す(ながす)の4種の読み方が存在する。
  二句目(なくなるやまを)は、(なくなりやまを)
 ひた-と 【直と・専と】:ひたすら。▽もっぱらその状態であるようす。
 四句目(ひだにやきみが)は、(ひたにやきみが)
 はた【▽将/▽当】:ひょっとすると。 
 ざら‐・む: …しないだろう。 

 さをしかの なくなりやまを こえゆかむ ひたにやきみが はたあはざらむ 

 06 0953 右笠朝臣金村之歌中出也 或云車持朝臣千年作之也[右は、笠朝臣金村の歌の中に出づ。或は云はく、「車持朝臣千年の作」といへり]

2026年9月20日日曜日

【萬葉集06 0948・0949】

06 0948 四年丁卯春正月勅諸王諸臣子等散禁於授刀寮時作歌一首[四年丁卯の春正月、諸の王・諸の臣子等に勅して、授刀寮(たちはきのりょう)に散禁(さんきん)せしめし時に、作れる歌一首]并短歌〔并せて短歌〕  

 「神亀4年(727年)正月、侍従侍衛の任を怠けた官人を授刀寮に散禁した」という。

 06 0948 真葛延(まくずはふ)春日之山者(かすがのやまは)打靡(うちなびく)春去徃跡(はるさりゆくと)山上丹(やまのへに)霞田名引(かすみたなびく)高圓尓(たかまとに)鸎鳴沼(うぐひすなきぬ)物部乃(もののふの)八十友能壮者(やそとものをは)折木四哭之(かりがねの)来継比日(きつぐこのころ)如此續(かくつぎて)常丹有脊者(つねにありせば)友名目而(ともなめて)遊物尾(あそばましものを)馬名目而(うまなめて)徃益里乎(ゆかましさとを)待難丹(まちがてに)吾為春乎(わがするはるを)决巻毛(かけまくも)綾尓恐(あやにかしこし)言巻毛(いはまくも)湯〃敷有跡(ゆゆしくあらむと)豫(あらかじめ)兼而知者(かねてしりせば)千鳥鳴(ちどりなく)其佐保川丹(そのさほがはに)石二生(いはにおふる)菅根取而(すがのねとりて)之努布草(しのふくさ)解除而益乎(はらへてましを)徃水丹(ゆくみづに)潔而益乎(みそぎてましを)天皇之(おほきみの)御命恐(みことかしこみ)百礒城之(ももしきの)大宮人之(おほみやひとの)玉桙之(たまほこの)道毛不出(みちにもいでず)戀比日(こふるこのころ)

 かけ-ま-く-も:心にかけて思うことも。言葉に出して言うことも。 
いは-ま-く-も 【言はまくも】:口に出して言うのも。 
由々しき一大事だ 二十句目(ゆゆしくあらむと)は、(ゆゆしからむと) 
 二十九句目(いはにおふる)は、(いはにおふ)
 しのふ 【偲ふ】(上代語):思い慕う。
「まさに、後悔先に立たず」なんだよなぁ。

 06 0949 反歌一首
 06 0949 梅柳(うめやなぎ)過良久惜(すぐらくをしみ)佐保乃内尓(さほのうちに)遊事乎(あそびしことを)宮動〃尓(みやもとどろに) 

 『乃』の字には少なくとも、乃(ノ)・ 乃(ナイ)・ 乃(ダイ)・ 乃(アイ)・ 乃(の)・ 乃(なんじ)・ 乃ち(すなわちの7種の読み方が存在する。
 『内』の字には少なくとも、内(ノウ)・・ 内(ドウ)・ 内(ダイ)・ 内(ゼイ)・ 内(うち)・ 内る(いる)の7種の読み方が存在する。
 乃(ナイ)+ 内(ナイ)=(ない) 
三句目(さほのうちに)は、(さほないに) 
『比』の字には少なくとも、比(ビチ)・ 比(ビ)・ 比(ヒツ)・ 比(ヒ)・ 比ぶ(ならぶ)・ 比(たぐい)・ 比(ころ)・ 比べる(くらべる)の8種の読み方が存在する。 
『動』の字には少なくとも、動ドウ・ 動トウ・ 動ズ・ 動もすればややもすれば・ 動くうごく・ 動かすうごかすの6種だが、とどろ(に・と) 【轟(に・と)】は、[どうどう。ごうごう。▽大きな音が鳴り響くさま]で、「動〃」を義訓とした。

 06 0949 右神龜四年正月 數王子及諸臣子等 集於春日野而作打毬之樂 其日忽天陰雨雷電 此時宮中無侍従及侍衛 勅行刑罰皆散禁於授刀寮而妄不得出道路 于時悒憤即作斯歌[右は、神亀四年の正月に数の王子また諸の臣子等の春日野に集ひて、打毬の楽を作す。 その日忽ちに天雲り雨ふり雷なり電す。この時に宮の中に侍従と侍衛と無し。勅して刑罰に行ひ、皆授刀寮に散禁して妄りて道路に出づることを得ずあらしむ。時に悒憤(ゆうふん)し、即ちこの歌を作れり]作者未詳

2026年9月13日日曜日

【萬葉集06 0946・0947】

06 0946 過敏馬浦時山部宿祢赤人作歌一首[敏馬の浦を過ぎし時に、山部宿祢赤人の作れる歌一首]并短歌〔并せて短歌〕 
 06 0946 御食向(みけむかふ)淡路乃嶋二(あはぢのしまに)直向(ただむかふ)三犬女乃浦能(みぬめのうらの)奥部庭(おきへには)深海松採(ふかみるとる)浦廻庭(うらみには)名告藻苅(なのりそかる)深見流乃(ふかみるの)見巻欲跡(みまくほしけど)莫告藻之(なのりその)己名惜三(おのがなをしみ)間使裳(まづかひも)不遣而吾者(やらずてわれは)生友奈重二(いけりともなし) 

 みけむかふ【御食向かふ】:「淡路(あはぢ)」「城上(きのへ)」「南淵(みなぶち)」「味原(あぢふ)」などの地名にかかる枕詞。 
 【故地名】敏馬の浦(みぬめのうら):兵庫県神戸市 
 おき-へ 【沖方・沖辺】:沖の方。沖の辺り。 
 ふか-みる 【深海松】:海底深く生えている海松(みる)(=海藻の一種)。
 六句目(ふかみるとる)は、(ふかみるをとる)
 うら-み 【浦廻・浦回】:入り江。海岸の曲がりくねって入り組んだ所。「うらわ」とも。
 なのりそ:海藻のほんだわらの古名。正月の飾りや、食用・肥料とする。 
『藻』の字には少なくとも、藻(ソウ)・ 藻(も)・ 藻(あや)の3種の読み方が存在する。 八句目(なのりそかる)は、(なのりそをかる)
 み-まく-ほ・し 【見まく欲し】:見たい。会いたい。
「(ふか-みる)(なのりそ)と歌いこんでの、前哨戦である」

そしてやっと本音を歌いだすのだ。
 ま-づかひ 【間使ひ】:消息などを伝えるために、人と人との間を行き来する使者。
 いけ【生】 り ともなし:生きているとも感じられない。生きているように思われない。
「告白せずして、何の生きがいがあろう」というわけよ。

 06 0947 反歌一首
 06 0947 為間乃海人之(すまのあまの)塩焼衣乃(しほやききぬの)奈礼名者香(なれなばか)一日母君乎(ひとひもきみを)忘而将念(わすれておもは)

 為:[音]イ(呉・漢)[訓]読み: ため、な-す、な-る、す-る (活用系:「し」「せ」「さ」)、つく-る、おさ-める[をさむ] 
『乃』の字には少なくとも、乃(ノ)・ 乃(ナイ)・ 乃(ダイ)・ 乃(アイ)・ 乃(の)・ 乃(なんじ)・ 乃ち(すなわち)の7種の読み方が存在する。
 海人 (あま):あまの漢字表記。 
乃(アイ)+海人 (あま)=(あま)
 一句目(すまのあまの)は、(すまあまの)でもいいのだけれど、ここは(しまあまの) 『礼』の字には少なくとも、礼(レイ)・ 礼(リ)・ 礼(ライ)・ 礼(のり)・ 礼う(うやまう)の5種の読み方が存在する。 
なり-な・る 【成り成る】:しだいに出来上がる。
 『者』の字には少なくとも、者(シャ)・ 者(もの)の2種の読み方が存在する。 
三句目(なれなばか)は、(なりなしか) 
 『而』の字には少なくとも、而(ノウ)・ 而(ニ)・ 而(ドウ)・ 而(ジ)・ 而(なんじ)・ 而れども(しかれども)・ 而るに(しかるに)・ 而も(しかも)・ 而して(しかして)の9種の読み方が存在する。 
『将』の字には少なくとも、将(ソウ)・ 将(ショウ)・ 将に…す(まさに…す)・ 将いる(ひきいる)・ 将(はた)の5種の読み方が存在するけれど、(うける)もあるという。
 『念』の字には少なくとも、念(ネン)・ 念(デン)・ 念う(おもう)の3種の読み方が存在する。
 将レ念→念う(おもう)+将(うける)=(おもう)
 五句目(わすれておもは)は、(わすれじおもふ) 

 しまあまの しほやききぬの なりなしか ひとひもきみを わすれじおもふ 

 06 0947 右作歌年月未詳也 但以類故載於此次[右は、作歌の年月いまだ詳らかならず。ただ、類をもちての故に、この次に載す]