06 0935 名寸隅乃(なきすみの)船瀬従所見(ふなせゆみゆる)淡路嶋(あはぢしま)松帆乃浦尓(まつほのうらに)朝名藝尓(あさなぎに)玉藻苅管(たまもかりつつ)暮菜寸二(ゆふなぎに)藻塩焼乍(もしほやきつつ)海未通女(あまをとめ)有跡者雖聞(ありとはきけど)見尓将去(みにゆかむ)餘四能無者(よしのなければ)大夫之(ますらをの)情者梨荷(こころはなしに)手弱女乃(たわやめの)念多和美手(おもひたわみて)俳佪(たもとほり)吾者衣戀流(あれはぞこふる)船梶雄名三(ふねかぢをなみ)
【故地名】名寸隅(なきすみ):兵庫県明石市魚住町・大久保町一帯の地。
ふな‐せ【船瀬】:船が風波を避けるために停泊する所。
松帆の浦:今の兵庫県の淡路島の北端にある海辺で、明石海峡をはさんで須磨・明石の地をのぞむ。
あま-をとめ 【海人少女】:海で働く少女。
よし‐な・い【由無い】: そうするいわれがない。理由がない。
こころなし【心無し】:思慮、おもいやりがないこと。
おもひ-たわ・む 【思ひ撓む】:気持ちがくじける。
た-もとほ・る 【徘徊る】:行ったり来たりする。歩き回る。
まるで、♪潮風を待つ少女♪(安達明)を歌ってるようだ。
06 0936 反歌二首
06 0936 玉藻苅(たまもかる)海未通女等(あまをとめども)見尓将去(みにゆかむ)船梶毛欲得(ふねかぢもがも)浪高友(なみたかくとも)
さぞかし、「噂にたがわぬ少女たちがいるんだろうなぁ?」という思いが高まる。
06 0937 徃廻(ゆきめぐり)雖見将飽八(みともあかめや)名寸隅乃(なきすみの)船瀬之濱尓(ふなせのはまに)四寸流思良名美(しきるしらなみ)
しきる【頻る】:何度も起こる。度重なる。
「今や、夢と憧れになってしまったけれど、この波を乗り越えてきっと船出するぞ」という決意がうかがえる。