2026年10月11日日曜日

【萬葉集06 0955】

06 0955 大宰小貳石川朝臣足人歌一首[大宰少弐石川朝臣足人(たりひと)の歌一首] 
 大宰帥(そち)の大伴旅人(おおともの-たびと)へおくった歌だという。 
 06 0955 刺竹之(さすたけの)大宮人乃(おほみやひとの)家跡住(いへとすむ)佐保能山乎者(さほのやまをば)思哉毛君(おもふやもきみ) 

 さすたけ-の 【刺す竹の】:「君」「大宮人」「皇子(みこ)」「舎人男(とねりをとこ)」など宮廷関係の語にかかる。「さすだけの」とも。
 おおみや‐びと〔おほみや‐〕【大宮人】:《上代は「おほみやひと」》宮中に仕える人。殿上人(てんじょうびと)。 
『跡』の字には少なくとも、跡(セキ)・ 跡(シャク)・ 跡(あと)の3種の読み方だが、万葉仮名借訓として(と)
 と(格助詞):〔目的〕…として。…と言って。…と思って。 
上の句だけなら、常套手段ってもんだが、三句目の(いへとすむ)なんておかしいよね。


 ところが四句目で、(さほのやまをば)とくる。
【故地名】佐保の山(さほのやま):奈良県奈良市 佐保山の麓は万葉歌人大伴家持、大伴旅人、大伴坂上郎女を輩出した、佐保の大伴氏をはじめ、高級貴族の邸宅地でした。
 しかし大事なのは、長屋王主催の佐保楼と呼ばれた文化サロンもあったということだ。

 ここで五句目(おもふやもきみ) が生きるんよ。
もちろん、長屋王の変を踏まえての話だよ。
憤懣やるかたない旅人のことを思っての歌である。
や-も:…かなあ、いや、…ない。▽詠嘆の意をこめつつ反語の意を表す。 

 さすたけの おほみやひとの いえとすむ さほのやまをば おもふやもきみ

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