2026年9月6日日曜日

【萬葉集06 0942・0943・0944・0945】

06 0942 過辛荷嶋時山部宿祢赤人作歌一首[辛荷の島を過ぎし時に、山部宿祢赤人の作れる歌一首]并短歌〔并せて短歌〕 
 06 0942 味澤相(あぢさはふ)妹目不數見而(いもがめかれて)敷細乃(しきたへの)枕毛不巻(まくらもまかず)櫻皮纒(かにはまき)作流舟二(つくれるふねに)真梶貫(まかぢぬき)吾榜来者(わがこぎくれば)淡路乃(あはぢの)野嶋毛過(のしまもすぎ)伊奈美嬬(いなみつま)辛荷乃嶋之(からにのしまの)嶋際従(しまのまゆ)吾宅乎見者(わぎへをみれば)青山乃(あをやまの)曽許十方不見(そこともみえず)白雲毛(しらくもも)千重尓成来沼(ちへになりきぬ)許伎多武流(こぎたむる)浦乃盡(うらのことごと)徃隠(ゆきかくる)嶋乃埼〃(しまのさきざき)隈毛不置(くまもおかず)憶曽吾来(おもひぞあがくる)客乃氣長弥(たびのけながみ) 

 あぢさはふ【味沢相・味澤相】:あぢ(鴨の名)と呼ばれた渡り鳥が沢に滞在し、夜も昼も構わず鳴き続けるさま。 泣き続ける。 
 め-かれ 【目離れ】:目が離れること。会わないでいること。疎遠になること。
 五句目(かにはまき)は、(おうひまき)
真楫繁貫(まかじじぬ・く):船に左右そろった櫂かいをたくさん取り付ける。
九句目(あはぢの)は、(あはみちの)
 つま 【端】:はし。へり。
 【故地名】辛荷の島(からにのしま):兵庫県揖保郡御津町室津地ノ唐荷島・中ノ唐荷島・沖ノ唐荷島。 
 くま【隈、暈】:隠れたところ。奥まったところ。 
ふち【淵・渕・渊・潭】:脱出し難い厳しい境遇。
 二十三句目(くまもおかず)は、(くまもふち
 二十四句目(おもひぞあがくる)は、(おもひぞあがく) 
 かく【斯く】:かように、このように、こうして。
 け-なが・し 【日長し】:日数が長くたっている。
 二十五句目(たびのけながみ)は、(かくのけながみ)

 06 0943 反歌三首 06 0943 玉藻苅(たまもかる)辛荷乃嶋尓(からにのしまに)嶋廻為流(しまみする)水烏二四毛有哉(うにしもあれや)家不念有六(いへおもはざらむ)

 う 【鵜】:水鳥の名。鵜飼いに使わ)れる。[季語] 夏。 
『家』の字には少なくとも、家(コ)・ 家(ケ)・ 家(カ)・ 家(や)・ 家(うち)・ 家(いえ)の6種の読み方が存在する。
 五句目(いへおもはざらむ)は、(けおもはざらむ

 06 0944 嶋隠(しまがくり)吾榜来者(わがこぎくれば)乏毳(ともしかも)倭邊上(やまとへのぼる)真熊野之船(まくまののふね)

 『毳』の字には少なくとも、毳(ゼイ)・ 毳(セツ)・ 毳(セチ)・ 毳(セイ)・ 毳(セ)・ 毳(ケチ)・ 毳(カツ)・ 毳らかい(やわらかい)・ 毳(むくげ)・ 毳(にこげ)・ 毳(そり)・ 毳(けば)の12種の読み方が存在する。
 三句目(ともしかも)は、(ともにこげ) 

しまがくり わがこぎくれば ともにこげ やまとへのぼる まくまののふね

 06 0945 風吹者(かぜふけば)浪可将立跡(なみかたたむと)伺候尓(さもらひに)都太乃細江尓(つだのほそえに)浦隠居(うらがくりをり) 

 【故地名】都太の細江(つだのほそえ):兵庫県姫路市
 さ-もら・ふ 【候ふ・侍ふ】:ようすを見ながら機会をうかがう。見守る。

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